第1話 長男の目標
――現在。
今年で17歳のシュウ。
二男七女の長男となりました!
どんな子になるのかなって、おかげで世話上手なお兄ちゃんである。
去年父親を継いでハンター――普通よりも強い者だけが取得できる資格――となり、1年間父親の元に弟子入りして昨日で卒業。
まだまだ超一流ハンターの父親には及ばないが、新米でもすでに一流ハンター。
目標は、
『親父を超えること!』
である。
そのため、弟子を卒業した今、日々仕事と修行に励みたいのだが……。
8人の弟妹を抱える兄・シュウは、そうも行かなかった。
シュウの1日は、早朝6時に始まる。
ジリリリリリリ!!
一斉に鳴り出す10個の目覚まし時計を、
スパパパパパパパパパパーーーン!!
と鮮やかに手で叩き止め、
ガバッ!!
と、ベッドから飛び起きる。
とりあえず向かう先は、自分の部屋に備え付けてあるバスルームの洗面所。
手早く顔を洗い、歯を磨き、寝癖ヘアを整えるのは後にして部屋を飛び出す。
シュウと弟妹たちの部屋は、屋敷の2階にある。
シュウが向かって一番右端の自分の部屋から出ると、隣の部屋のドアが開いた。
顔を見せたのは、シュウの妹で長女のミラである。
妹といってもシュウは5月生まれで、ミラは同年の11月生まれ。
同い年である。
何故かというと、10ヶ月で産まれる人間と、2ヶ月で産まれるブラックキャットの間にできたハーフは、5ヶ月で産まれるからである。
シュウと同様、ミラは父親譲りの黒髪に黒々とした瞳をしている。
それから、母親譲りの黒猫の耳。
顔はどちらかというと母親似で、性格を現すような温厚な顔つきをしている。
「おはよう、お兄ちゃん」
そう言って見せる笑顔は、とても愛らしい。
ちなみに、かなりのファザコン。
「オス、ミラ」そう言ってシュウはミラの頭を撫でながら、辺りに鼻をくんくんとさせた。「こっ…、これは味噌汁の匂い! やべえっ、母さんもうとっくに起きて朝飯作ってんだ!」
「大変っ! ママ1人に作らせちゃったっ…!」
シュウとミラは慌てて緩やかな螺旋階段を駆け下り、キッチンへと向かう。
キッチンへと入ると、母親・キラが優しい笑顔で振り返った。
「おはよう、シュウ、ミラ」
前作ヒロインのブラックキャット・キラ。
絶世の美女と言っても過言ではない繊細な顔立ちに、ガラスのような銀色の長い髪、黒猫の耳と尾っぽ。
大きな黄金の瞳に、白い肌、小柄なナイスぼでー。
今年で38歳だが、外見年齢が20歳前後の頃と変わらないのは、モンスターであるが故に何ら不思議ではない。
ちなみに、たまに激しく天然バカ。
「ご、ごめん、母さんっ!」
「ご、ごめんなさいっ、ママ!」
朝食作りは、キラに加えてシュウとミラで行っている。
慌てて手伝おうとしたシュウとミラだったが、朝食はもう出来上がっていたようだった。
「良い。私が早くにおまえたちの父上に起こされてな」
と、キラ。
出来上がった味噌汁を11つのお椀に注ぎながら、苦笑する。
「…お疲れ、母さん」
そうシュウはキラに続いて苦笑するが、ミラは頬を赤く染めて言う。
「いいな、ママってば。私もパパに抱かれたいっ」
「問題発言すんな」
シュウはミラにデコピンして突っ込むと、朝食の盛られた皿類をテーブルへと運んだ。
キラもミラと一緒に運んで来ながら、シュウに言う。
「シュウ、妹たちを起こして来てくれるか? 母上は父上を起こしてくるぞ」
シュウは承諾し、再び緩やかな螺旋階段を駆け上がって屋敷の2階へと向かった。
向かって一番右端がシュウの部屋。
その左隣は、ミラの部屋。
そのミラの左隣が、次女・サラの部屋である。
「サラ、起きろ。朝飯だ」
シュウが言いながら布団にもぐっているサラの身体を揺すると、明るめの茶色い頭が現れた。
本当はサラも黒髪なのだが、母親譲りの黄金の瞳に合わせたいが故にカラーリングしたらしい。
年齢はシュウの1つ下で、今年16歳になる新米ハンターだ。
これから1年間は先輩ハンターの弟子になるが、その先輩ハンターに父親を選ばなかった。
「…っさいな、兄貴。眠いんだよ、アタシは。あとで食べるから出てけ、ウゼー」
この口の悪さは、女の子なのに父親に似てしまった。
その上、鋭い目つきも父親似。
170センチ弱と、女の子にしては背が高いのも父親似。
しかもちょっと、不良気味。
サラがワガママを言ったところで、シュウは容赦しない。
「うるせえ、さっさと起きろ!」
そう言って強引にサラをベッドから引きずり出す様は、やっぱりシュウも父親似。
シュウにずるずると廊下まで引っ張られ、サラは舌打ちをして1階へと向かう。
それを確認したあと、シュウはサラの左隣の部屋へ。
「リン、ラン。朝だぞ、起きろ」
三女のリンと、四女のラン。
双子の部屋だ。
今日から葉月島にある魔法学校3年生になる、15歳。
といっても早生れなので、15歳になるのは来年だが。
母親譲りのガラスのような銀髪に、黄金の瞳、黒猫の尾っぽ。
顔立ちは父親と母親のちょうど中間といったところだが、性格はまるで母親似。
無邪気な笑顔も、口調も、困ったことに天然バカなところも。
それから、ミラがファザコンなら、リンとランはブラコン。
「兄上ーーーっ!!」
声を揃えるなり、ガバチョッとベッドから起き上がってシュウの首に抱きつく、リンとラン。
「おはよう、兄上!」
と、リンがシュウの右頬にキスし、
「おはよう、兄上!」
ランがシュウの左頬にキスする。
「あー、はいはい。おー、よしよし」
リンとランを首にぶら下げつつ頭を撫でてやり、シュウは廊下へと出る。
リンとランが一階へと向かって行ったら、シュウは今度はまたその左隣の部屋へと入る。
双子の次に産まれたのは、三つ子だった。
三つ子の上から順に、シュウは呼んで起こす。
「ユナ!」
「…うー……はいー」
五女・ユナが目を擦りながら身体を起こし、
「マナ!」
「…はい…」
六女・マナがぱちりと目を開け、むくりと起き上がり、
「レナ!」
「はあああいっ! あっさごはぁぁぁぁぁん!」
七女・レナが元気良く飛び起きる。
そして、真っ先に一階へと駆け下りていく。
ユナ・マナ・レナの3つ子は、母親譲りの銀髪に黒猫の耳。
それから父親の黒々とした瞳でもなく、母親の黄金の瞳でもなく、淡い紫色の瞳をしていた。
恐らく祖父母譲りかと思われる。
顔立ちはどちらかというと母親似で、もうすぐ13歳。
今日から魔法学校の1年生だ。
3つ子なので外見はそっくりでも、それぞれ中身がまるで違っていた。
ユナはとにかく泣き虫で、ミラと同じくファザコン。そしてその胃袋は偏食。
マナはとにかく口数が少なく、母親から天然バカを受け継いだ。そしてその胃袋はゲテモノ好き。
レナはとにかく元気が良く、いつも屋敷の中を駆け回っている。そしてその胃袋は巨大。
3つ子が一階へと向かってった後。
シュウはまたその左隣の部屋に入った。
最後は、次男で末っ子の弟を起こす。
シュウの12歳下で、3つ子の8歳下と、年の離れたアイドル的存在の可愛い弟。
「ほーら、ジュリ。朝だぞー」
可愛くて仕方がないジュリを起こすときは、思わずシュウの顔が綻んでしまう。
ガラスのような銀髪から、大きな黄金の瞳、真っ白な肌、黒猫の耳と尾っぽ、その顔立ちまで、全部母親譲りだ。
はっきり言ってそこらの女の子よりも、ずっと可愛いのだ。
「あにうえー、おはようございます」
「おー、おはよう。さあ、朝飯食おうなあー」
シュウはジュリをいつものように抱っこして、一階へと向かう。
「オレの弟は可愛いぜ、こんちくしょうっ♪」
なんて、朝の慌ただしい雰囲気の中ですっかり機嫌を良くされながら。
朝の食卓へと戻ってきて、シュウはジュリを専用の椅子に座らせた。
そのあと、妹たちを見て訊く。
「なあ、親父はまだかよ」
「ママが起こしに行ったまま、まだ戻ってこないの」
と、ミラ。
今、両親の寝室で何が行われているか察したシュウは、顔を引きつらせた。
「あんの万年発情期親父が……!」
1階にある両親の寝室へとドスドスと足音を立てて向かって行く。
ドアに『ただいま取り込み中! 入ったら説教!』と札がぶら下がっているが、シュウはお構いなし。
思いっきりドアを蹴り開ける
。
バァン!!
「朝っぱらから子作りに励んでんじゃねえ、親父!!」
「てめ……」
そして、前作主人公である、シュウの父親・リュウ。
シュウとそっくりな顔の、その鋭く黒々とした瞳でぎろりとシュウを睨み付ける。
「真っ最中に入ってくんじゃねえって、いつも言ってんだろうが!! とんでもねー息子だな、おまえはよ!?」
「そういうアンタこそとんでもねー親父だろうがよ!?」
「お父上様と言え!! このバカ息子がっ!!」
「親父で充分だ、このエロオヤジがっ!! 早朝から欲情して母さんのこと起こしたクセに、何でまたヤッってんだよ!? もうこれ以上弟妹はいらねーって言ってんだろ!!」
「ちゃんと避妊してら!! ったく、うるせーな、おまえは!! さっき2回しかヤッてねーんだぞ!?」
「充分だろうが!! いーから朝飯だ!! さっさと終わらせて出て来い!!」
バタンと大きな音を立ててドアを閉め、シュウは溜め息を吐いて食卓へと戻る。
今や世界の誰もが知る葉月島の超一流ハンターで、それから葉月ギルドのギルド長となったリュウ。
今年で39歳だというのに、未だに強くなり続けるバケモノだ。
しかも人間なのに、何故か老けない。
昔から老け顔というものあるのだろうが、リュウはシュウと兄弟に見間違えられるほどだ。
リュウの力をたしかに受け継いでいるシュウだが、まだまだリュウには及ばなかった。
修行を兼ねてリュウとときどき刃を交えるが、まだ一撃すら当てたことがない。
兄弟のようにそっくりでも腕周りはリュウの方が一回り太いし、胸板だってリュウの方が厚い。
身長だって、数センチほどリュウの方が高い。
キラと娘たちと末の弟には甘いのに、リュウはシュウにはとことん厳しい。
俺様で、我侭で、自分勝手で、横暴で、はっきり言って鬼だ。
武術や魔術などハンターとして必要な面で、シュウは未だに一度も褒められたことがない。
そのせいか、シュウはもう1つ目標があった。
(親父に褒めてもらうこと)
強くなったと、リュウに一言褒めてもらいたかった。
それはリュウに一撃与えられたときか、超一流ハンターに昇格できたときか、リュウを越えたときか、いつかは分からないが。
あれでも父親には変わりなくて、その大きな背はやっぱり偉大だと感じさせる。
一言で良いから、強くなったと褒めてもらいたい。
(って、オレはファザコンじゃねーっすよ!?)
なんて読者様に訴えつつ、シュウは食卓に着いてリュウとキラを待つ。
朝食だけは家族そろって『いただきます』をするのが一家の決まりであるが、その決まりを作った張本人のリュウがいないのはどういうことか。
シュウは苛々とし、サラを除く妹たちと末の弟はおとなしく両親を待ち、サラは先にさっさと食べ始めている。
「親父がふて腐れるからやめろよ、サラ」
「知るか」
そう言い、サラはシュウの忠告を聞かずに朝食を食べ続ける。
食卓へとやってきたリュウが娘たちと末の息子に『おはようのキス』を頬にされながら、サラを見て顔をしかめた。
「おい、サラ。何で先に食ってんだ」
「親父が遅いのが悪いんでしょ」
「少しくらい待ってくれてても――」
「ごちそうさまー。おいしかったよ、ママ」
リュウの言葉を遮ってさっさと自分の部屋へと戻り、着替えて再び一階へと戻ってきたサラ。
「んじゃ、アタシ先にギルド行ってるわ。ギルドで師匠来るの待ってよーっと」
そう言って屋敷から出て行った。
サラの師匠が誰であるかは、後ほど分かる。
案の定、ふて腐れたリュウ。
「なっ…んだよ。飯くらい一緒に食えってんだ、あいつはっ…! しかも何で俺を師匠に選ばねえんだよ……!」
「オレもサラの師匠となる人を師匠に選びたかったっての…」シュウは溜め息を吐いて言い、突っ込まれる前に続けた。「いーからさっさと朝飯食おうぜ」
というわけで、次女・サラを除く一家で『いただきます』。
いつものごとく、シュウの声が飛ぶ。
「ああっ、醤油ねえ! 悪い、ミラ持ってきてくれ。って、コラ! レナっ、兄ちゃんの卵焼きを取るなっ! ユナはちゃんとサラダ食え! ――って、ああああ、すぐ泣くなよユナーーーっ! ほーらほら、兄ちゃん怒ってねーからなーっ♪ …んっ? おお、マナ! ジュリの魚ほぐしてやってんのかー、えらいえらい……って、オイ! 内臓食わしてんなっ! その母さん似のオッサンくせー味覚が誰にでも通用すると思ったら間違いだからな、マナ! 大丈夫か、ジュリ? あー、苦かったなーっ。ほら、ティッシュにペッとしろ、ペッって――ソコ! リン・ラン、デザートは最後に食えっていつも言ってんだろうが! 母さんも! いっつもいっつもデザート先に食うから飯残してんだろ!? つーか、朝っぱらから酒飲んでんじゃねえ親父っっっ!!」
シュウに指を差され、リュウは深く溜め息を吐く。
「本当口うるせーな、おまえ。誰に似たんだよ」
「この環境で育ったら嫌でもこうなるわ!」
「味噌汁おかわり」
「自分で持ってこ――」
ゴスッ!!
リュウの拳骨が、シュウの言葉を遮った。
「早くしろ」
「…く、くそっ……!」
リュウのお椀を持ち、しぶしぶと味噌汁を注ぎにいくシュウ。
物心がついた頃からこんなことをしている気がする。
朝食が終わったら終わったで、今度は休む間なくシュウはキッチンへと向かう。
キラとミラが食器洗いをする傍らで、シュウは魔法学校へ通う双子と三つ子の弁当作りを開始。
それぞれの弁当箱にご飯を詰めて熱を冷ましつつ、栄養バランスと彩りを考えておかずを手早く作る。
できあがった弁当を見てブラコンの双子は素直に喜ぶが、三つ子はあれやこれやとうるさい。
泣き虫で偏食のユナが、しゃくりあげながらシュウのところへやってきて言う。
「に、兄ちゃんっ…、ヒック…えぐっ…、プチトマトやだぁっ」
「好き嫌いすんなっ!」
その次に無口でゲテモノ好きなマナがやってきて、ゆっくりとした口調で言う。
「兄ちゃん…、ザザムシ入れて……」
「……。わり、ないわ」
さらにその次に、常に元気一杯で巨大な胃袋を持つレナが慌ただしく駆けて来て言う。
「兄ちゃんっ! 弁当足りないよ!」
「じゅ、重箱4段ありゃ充分だろうがっ!」
やっと3つ子が離れていって、シュウの弁当作りは完了。
ようやく仕事へ行く準備に入る。
自分の部屋に戻ってクローゼットから今日の戦闘服を選び、寝巻きから着替える。
2つの視線を感じながら。
「……コラ」
と、シュウが言うと、わずかに開いているドアの向こうにいる2匹が飛び跳ねた。
「の、覗いてなんかないのだっ!」
そう声を揃え、ドアを開けて顔を出したのはリンとランである。
にやけないように必死に真顔を作り、黄金の瞳をシュウから逸らす。
リン、ランと交互に言う。
「ほ、本当なのだ、兄上」
「そ、そうなのだ、兄上」
「わ、わたしたち嘘なんか吐いてないのだっ」
「そ、そうなのだっ」
「そーかそーか、悪かったな」
と、2匹に笑顔を向けてやるシュウ。
そのあと笑顔を消して、
「今日の兄ちゃんのパンツは何色だ!?」
「青」
即答したリンとラン。
「あっ」
しまった、と口を手で塞ぎ、誤魔化すように笑顔を作って逃げていった。
(まったくうちの家族は…)
溜め息を吐きながらシュウは寝癖ヘアを整えて剣を持ち、部屋から出て1階へと向かう。
(何で『マトモ』と言えるのがジュリしかいねーかな……)
玄関へとやってきたシュウ。
顔が引きつる
「パパっ…、早く帰ってきてねっ、私寂しいっ…! ねえ、もっとキスしてっ……!(はーと)」
そうおねだりしてリュウから頬にキスしてもらっているのは、ファザコンのミラである。
おかしい。
おかしすぎるだろ、オイ。
年頃の女の子の「パパのパンツと一緒に洗わないでっ!」なんて台詞とは遥かに無縁のようだ。
リュウの相手を疎ましがるサラの方が普通に見える。
「おい、ミラ。傍から見たらヤベー親子だぞ……」
「ん? あ、お兄ちゃんもいってらっしゃい♪」
「おう、いってくる……」
愛らしい笑顔でシュウがツッコミをスルーされたあとは、キラが駆けて来た。
「リュウ、シュウ、もう行くのかっ?」
「ああ。母さん、いってきます」
そう言ったシュウの傍らで、リュウが寄って来たキラを左腕に抱っこした。
モンスターをペットとすることが流行っているここ葉月島で、元はリュウのペットだったキラ。
リュウのキラに対する扱いは、妻というより飼い猫を構っているようにも見える。
実際、妻であり、まだペットなのかもしれないが。
「行って来るぜ、俺の可愛い黒猫」
「いってらっしゃい、私の愛する主」
こういった会話は、キラがペットの頃かららしい。
毎朝のごとく、玄関先で『いってきますのキス』をする。
そして毎朝のごとく、シュウは突っ込む。
「簡易に済ませろってんだ、親父!」
「うるせーな。俺はこれから家を離れるんだぜ?」
「昼飯のときに一度戻って来んだろうが! 長期出張にでも行く気かアンタは!?」
と言いたくなるほど、リュウはキラに熱いキスをしていて。
子供が見ていようが見ていまいがお構いなしだ。
一番の癒しであるジュリの頭を撫でたあと、シュウはリュウと共に屋敷を後にした。
溜め息を吐き、リュウの一歩斜め後ろを歩く。
らぶらぶな両親の下、たくさんの弟妹たちに囲まれて育ったシュウ。
大声を出さない日はないし、溜め息を吐かない日はない。
ハンターの仕事で一歩外に出れば、戦ってばかりで体力的にも疲れない日はない。
「おい、シュウ」
「何だよ、親父」
「おまえ今日から1匹で仕事だな」
「おう」
「……ヘマして死ぬんじゃねーぞ」
そう、前を向いたまま呟くように言ったリュウ。
斜め後ろからその横顔を見て、シュウは笑った。
「心配すんなっての」
シュウの父親は、俺様で、我侭で、自分勝手で、横暴で、鬼だ。
そして、誰もが最強の超一流ハンターだと認めるほどの強い男。
そんな父親を持つシュウの目標は、
『親父を超えること!』
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