プロローグ


 黒猫の耳と尾っぽに、ガラスのような銀色の髪の毛。
 大きな黄金の瞳に、真っ白な肌、小柄で華奢な身体。

 その顔立ち。

 立てば絶世の美女。
 座れば絶世の美女。
 歩く姿もやっぱり絶世の美女。

 そんなブラックキャットという猫科モンスターを母親を持つジュリ。

 その外見をまんま受け継いだ彼は、母親に加えて人間の父親と1人の兄、7人の姉を持ち。
 さらに兄の妻である1人の義姉と、姉の夫である2人の義兄を持ち。
 おまけに4人の甥と2人の姪を持ち。

 性格はとても素直で、とても心優しく、そして大きくなるにつれて発覚した母親譲りの天然バカ。

 その外見上、一家のアイドルとして愛され。
 母を深く愛する父からは特に溺愛され。
 幼い頃に結婚の約束をした5つ年上の幼馴染からも愛され。

 それはもう、大切に大切に育てられ。
 父親からは相当な過保護で育てられ。

 ほぼ箱入りのまま、先月15歳の誕生日を迎え。
 葉月ギルドのギルド長である父親により、試験を受けることなくハンターの資格を取り。

「父上、母上、兄上、姉上。僕はハンターとなって強くなり、将来は立派なカブトムシになってみせます」

 明日、ついに世間というものに出る日が来た。
 
 
 
 
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