第15話 邪魔者


 夜桜パーティーから2日後の、月曜日。鬼百合学園高校1年A組の教室の中で、昼休みにアリスが作ってくれた弁当を広げた隆志は、隣の席の舞に顔を向けて小首を傾げた。

「どこかに行くの、舞? いつもはここで弁当食べるのに」

「越前先生の所だけど、悪い?」

 そう刺々しい語調で返して来た舞は、一昨日の卵焼き事件以来、隆志と大輝に対してお冠だ。思わず苦笑した隆志の背後を通り、舞は弁当を持って教室を後にした。渡り廊下を通って2年生の校舎へとやって来、そこの1階の廊下にある保健室の前で立ち止まって、ドアをコンコンコンと3回ノックする。

「失礼しまぁす♪」

 と保健室の中に入り、そこに虎之助がいるものと思って相好を崩した舞だったが、どこにも虎之助の姿がないと分かると、悄然として長嘆息した。

「まぁた、校長先生や女の先生たちに呼び出されちゃったかぁ……」

 でも、と舞は再び朗色を浮かべて全て未使用のベッドゾーンを通り過ぎ、虎之助のデスクの所へと向かって行った。その端っこに置かれた小さな木の椅子に座っている、緑の黒髪と血のような紅の瞳を持つビスクドール――胡蝶の顔を覗き込む。

「こんにちは、胡蝶お姉ちゃん!」

 腕に自分の背丈の半分程の大きさのカントリードールを抱き、俯きがちになっていた胡蝶が徐に顔を上げた。そして少しの間舞の笑顔を見つめた後、また俯きがちになる。動かず、ただの人形の振りをする。

「お弁当、ここで食べていいかな」

 と舞は勝手に虎之助のデスクに着くと、弁当を広げて食べ始めた。母・唯が作ってくれたおかずの中で、唯一己が作ったもの――卵焼きを箸で突いた時に、「あっ」と手を叩き、キャメル色のブレザーのポケットから折り畳んだ一枚の紙を取り出す。そしてそれを胡蝶に差し出すと、胡蝶が再び徐に舞の顔を見上げた。

「これ、胡蝶お姉ちゃんに」

 胡蝶がゆっくりとした動作で舞から紙を受け取り、広げていくのを見つめながら、舞は続けた。

「胡蝶お姉ちゃんの――人間の胡蝶お姉ちゃんの、卵焼きの作り方。たまーに、越前先生に作ってあげて欲しいなと思って」

 再び顔を上げた胡蝶を見つめ、問わずともその心中を察した舞は弁当を食べ続けながら答える。

「実はね、あたしも知ってるんだ。お人形の胡蝶お姉ちゃんの中の魂が、あたしの従姉妹の胡蝶お姉ちゃんじゃないってことは。的場先輩と同じように、越前先生の前では演じてるだけ。隆志もそう。……あ、大丈夫だよ? 絶対に越前先生に本当のことなんて言わないから」

 そんな舞の言葉を聞いた後、胡蝶の手から近くのベッドの下へと紙が滑り込んだ。それを舞は四つん這いになって拾い上げ、再び胡蝶に差し出す。

「はい、胡蝶お姉ちゃん」

 と胡蝶が落としたものだとばかり思っている舞に、胡蝶が静かに首を横に振った。その中から、囁くような声が聞こえて来る。

「…覚えた…いらない……」

「そっか、簡単なレシピだもんね。卵4つに対して、砂糖1カップと蜂蜜3分の1カップだけだし」

 と、舞がレシピをブレザーのポケットにしまった時、ノックもなしに保健室の引き戸を開ける音が聞こえて来た。振り返ると、そこには弁当を片手に持った虎之助の姿があった。

「あ、越前先生おかえりなさぁぁぁぁぁぁい!」

 と、舞が欣然として飛び跳ねながら駆け寄ると、ふと虎之助の顔が綻んだ。飼い主に愛情を求める子犬のように瞳を煌かせている舞の頭を、よしよしと撫でる。

「来てたのか、舞。一昨日はありがとな」

「はい! 女の先生たちのお相手はもういいんですかっ?」

「怪我人がいるからって、適当な言い訳して逃げて来た。で、舞はどうした? 俺に何か用か?」と問うや否やデスクに顔を向けた虎之助は、舞から返答される前に続けた。「ああ、ここに弁当食いに来たのか。胡蝶がいるしな」

「はい! あたし、胡蝶お姉ちゃんのこと大好きですから!」と答えた舞が、「後」と続ける。「越前先生もいるから、来ちゃった」

 そう言ってはにかんだ舞の顔を見つめながら、虎之助は感じる。

(ああ…、やっぱり似ている。生前の胡蝶に……)

 そう思ったら両腕が勝手に動いて、舞を愛おしむように抱き締めた。

「…虎之助……?」

 胡蝶の一驚したような声が聞こえた一方、舞が紅潮して声を上擦らせる。

「え、越前先生、あのっ、ど、どうしたんですかっ……!?」

「ごめん。でも、後もう少しだけ」

「えっ? あ、あのっ……!」

 と舞が狼狽えた時、再びノックもなしに保健室の引き戸が開いた。はっと胸を突かれて舞と虎之助が振り返ると、そこには苦虫を噛み潰したような顔の隆志がいた。

「何だ、おまえか……鈴木隆志か。俺目当ての女子生徒かと思ったぜ」

 と虎之助が安堵したように溜め息を吐くと、早足で中に入ってきた隆志が舞の弁当に蓋をしながら返した。

「越前先生目当ての女子だったら、何かまずかったんですか?」

「まずいだろ。こんな所見られたら騒がれる」

「だったら、さっさと舞を離してください。何、いつまでも堂々とセクハラしてんですか」

 と、さも不快そうに声高になった隆志が、舞の弁当片手に、虎之助の腕を舞から引き剥がした。虎之助を睨み上げ、半ば強引に舞の手を引いて保健室を後にする。

「……セクハラとは言ってくれんじゃねえか、あんにゃろう。そんなんじゃねえっつの」と怒気むんむんと顔を引き攣らせた虎之助が、デスクの上の胡蝶に顔を向ける。「なー、胡蝶? 酷い奴だな、アイツ。俺のガラスのハートはボロボロだぜ――って、あれ……?」

 胡蝶の様子がおかしいと、小首を傾げて顔を覗き込んだ虎之助。ふいと顔を逸らされて、苦笑する。

「おいおい、何怒ってんだ……。まさか、おまえも俺が舞にセクハラ……っていうか、浮気みたいなことしたとか思ってんのかよ、まさか?」

 返事のない胡蝶を抱き上げ、虎之助は続ける。

「図星かよ。そんなんじゃねえって。おまえの前で浮気出来るわきゃねーだろ。勿論、する気もねえし。ただ舞がさ、おまえに似てるから、思わず……」

 と弁明しても、相変わらず顔を背けたまま返事のない胡蝶に、虎之助から長嘆息が漏れる。

「いつまでも怒ってんなよ……らしくねえな」

 そんな言葉が聞えた刹那、胡蝶が胸を突かれたように虎之助の顔を見上げた。整った顔立ちを苛立たしげに歪ませる虎之助の頬に手を伸ばして、ようやく口をきく。

「…あの卵焼き…食べる……?」

「え? 今晩? おう、食べる」

 と打って変わって虎之助は顔を綻ばせると、胡蝶を膝に乗せてデスクに着いた。まだ食べていなかった弁当を広げながら、「そういえば」と続ける。

「さっき舞の弁当がチラッと見えたけど、入ってたなあ……あの卵焼き。チッ、貰い損ねたぜ。ったく、邪魔な奴だぜ、鈴木隆志」

 隆志が邪魔。そんな悪態をついた虎之助だが、何も本気で言った訳ではない。軽い気持ちで口にしただけだ。だが、胡蝶の脳裏にはとても大きく木霊していた。

(…鈴木隆志…邪魔……。…鈴木隆志…邪魔、邪魔、邪魔……)
 
 
 
 
 隆志により強引に教室へと引き摺られて行く舞の叫喚が、1年生と2年生の校舎を繋ぐ渡り廊下に響く。

「ちょっと! 離してってば! 隆志! あたし、保健室でお弁当食べる!」

「駄目。絶対に駄目だ」

「何それ! 命令しないでよ! 離してったら、離して! はぁぁぁなぁぁぁしぃぃぃてぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーっ!」

 と舞が、掴まれていない方の手で隆志の背を叩いて暴れると、隆志が堪らず舞から手を離した。

「ちょ、いたっ! いたたたたたたたっ! は、離したじゃないか、ほら! でも、保健室には行かせないからね!」

「何で!?」

 と眉を吊り上げて問うて来た舞に、隆志は声高になって答える。

「何でって……当たり前だろう? 胡蝶さんがいるってだけで危険なのに、その上越前先生にセクハラまでされておいて何言っ――」

「胡蝶お姉ちゃんが危険って何!? 越前先生がセクハラって何!?」

 と酷く憤怒した様子で言葉を遮って来た舞に、隆志は長嘆息した。舞を宥めるように、落ち着いた声で続ける。

「あのね、舞。僕は正直、亡くなった葉山君の事件には少なからず胡蝶さんが絡んでると思うんだ。だからそんな人形のいる所に、舞を行かせたくないんだ。舞が心配だから保健室まで迎えに行ったんだよ、僕」

「そんな心配いらない! だって違うもん! 胡蝶お姉ちゃんは、葉山君の事件には何の係わりもないもん! 危ないことなんか、何もないもん!」

「もしそうだとしても、僕は舞を保健室に行かせたくないよ。だって、越前先生がさっき舞にしてたことって、セクハラでしょう?」

「違うもん!」

「違わないよ」

「違う! 違うったら違う! 違う違う違う! 違うもんっ!」

 と、断じて肯定する気配のない舞。ではさっきの虎之助のアレはなんなのかと隆志が問う前に、続けた。

「セクハラとか、そんないやらしい抱き締め方じゃなかったもん! この上なく大切なものを抱くような、とっても優しい腕だったもん! 越前先生はきっとどこかで、あたしのことを亡くなった胡蝶お姉ちゃんと重ねてるんだよ!」

「舞のことを、亡くなった胡蝶さんと重ねてる……?」

 と、顔を顰めて鸚鵡返しに問うた隆志。舞がそうだと大きく頷くと、声高になって返した。

「だったら尚更、僕は舞を保健室に行かせる訳にはいかないよ。だって亡くなった胡蝶さんて、越前先生の恋人だったんだよ? 何されるか分からないじゃないか!」

「は? どういう意味? 越前先生があたしに、エッチなことしようとするって言いたいの?」

「するとはハッキリ言わないけど、可能性はある! 分かってるの!? 越前先生は、男なんだよ!?」

「はぁ? 何言ってんの?」と、舞が短く失笑した。「その前に、越前先生は『先生』じゃん。『先生』が『生徒』にそんな――」

「関係ないんだよ」と、隆志は舞の言葉を遮り、怖いくらいの真顔をして続ける。「世の中には、そんなこと関係のない男たちが大勢いるんだよ。異性である以上、性の対象にされるんだ。『男』の前に『先生』なんじゃない。『先生』の前に『男』なんだ」

「…え…越前先生は、そんな人じゃないもんっ……!」

 と赤面して困惑したように顔を逸らす舞に、隆志は続ける。

「勿論、全ての男がそうだとは言わないよ。僕だってそういう男じゃないからね。でも、越前先生はどうかな。昔は女遊びの激しい人だったみたいだし、それに舞のことを、よりによって亡くなった恋人と重ねてみてるだなんて……! 信用ならないね、僕は!」

 と声を荒げた隆志の頬に、パンと乾いた音と共に衝撃が走った。瞳に涙を溜めた舞が、怒声を上げる。

「越前先生のこと――胡蝶お姉ちゃが愛した男性のこと、悪く言わないでよ!」

「言いたくもなるよ」

「越前先生は、隆志が思ってるような人じゃないもん! それにっ……、それにあたし、別にいいっていうか」

「何が」

「越前先生は顔もカッコイイし、背だって高いし、スタイルだっていいし、セクシーだし、誰かさんが吐きそうになった卵焼きを美味しそうに食べてくれるような、とっても優しい人だし!?」

「だ、だからそのことは、ごめんって――」

「あたし、越前先生になら何されたっていいもん! 隆志なんかより、ずっとずっと好きだもん!」

 そんな舞の言葉を聞いた刹那、隆志の胸が突き刺されるような痛みを上げた。持っていた舞の弁当を突き返し、背を向ける。

「……分かった。じゃあ、僕はもう何も言わない。勝手にしなよ」

「――あっ……!」

 と狼狽して隆志の背に手を伸ばした舞だったが、一粒涙を落とすなり、胸に弁当を抱えて教室の方へと駆けて行った。
 その後、長嘆息した隆志に掛かった呆れ声。

「どこのカップルが痴話喧嘩してるかと思いきや、またおまえらかよ…。まぁーた殴られて、おまえは……」

 振り返ると、そこには大輝の姿があった。

「的場先輩、今朝一緒に登校した時に言い忘れましたけど……今日は一昔前のヤンキー風の頭ですね」

「な、なんだよ、かっけーだろ!? リーゼント!?」

「ノーコメントで」

 と素っ気なく返すや否や、教室の方へと向かって行こうとした隆志の腕を、大輝が引っ掴んだ。保健室の方へと連れて行く。

「保健室で怪我を治してから教室に戻れっつの」

「いいです、別に。……ていうか、嫌です。保健室に行くの。だって……」

 と口を閉ざした隆志だったが、言わずとも大輝にはその続きが分かったようだった。

「そんなこと言うなよ。おまえが会いたくない兄貴は今、保健室にいない筈だから。昼休みになったばかりの時に校内アナウンスで呼び出されてたと思ったら、またついさっき呼び出されてたからな」

「そうですか。じゃあ、保健室に行って自分で手当てしてきます。的場先輩は自分の教室に戻ってください」

 と大輝の手を振り払い、虫の居所が悪い様子で保健室の方へと向かって行く隆志を、大輝は苦笑しながら呼び止めた。

「おい、隆志。心配すんな。前も言ったけど、兄貴はロリコンじゃねーんだ。兄貴が舞ちゃんに何をしてた所を見たのか知らねーけど、それって別に大したことじゃなかったんじゃねーの?」

「大したことじゃなかった?」と鸚鵡返しにして立ち止まった隆志が、振り返って声高になる。「越前先生、舞のこと抱き締めてました。大したセクハラオヤジだと思いますが」

「おまえ、そりゃ違うよ。ほら舞ちゃんて、人間の胡蝶さんの従姉妹だろ? 兄貴にとっちゃ、可愛い妹みたいなもんなんだよ、きっと。大切な兄弟姉妹を抱擁することくらい、別におかしいことじゃねえだろ? 何だよ、セクハラって。それに兄貴って今年で27歳で、まだオヤジじゃねーし。あんまり兄貴のこと侮辱すんな」

 と大輝が色をなすと、隆志は戸惑いながら「ごめんなさい」と謝って保健室へと向かって行った。虎之助にとって舞が大切な妹のような存在だと言われたら、そんな気がしなくもなかった。舞を心配する余りに、少し熱くなりすぎていたのかもしれない。

(後で謝ろうかな……越前先生にも、舞にも……)

 そんなことを考えながら保健室に入ると、隆志は薬品戸棚の中を漁り出した。舞の爪痕が3本くっきりと付いた頬の手当てに必要そうなものを探し出す。その時、ふと背後に気配を感じた隆志は、はっと胸を突かれて振り返った。

「――あっ…、こ、こんにちはっ……」

 と顔色を失いながら、笑顔を作る。一瞬忘れていた、ここに胡蝶がいることを。隆志と同じ目線まで浮遊している胡蝶が、その囁くような声で問うて来る。

「…何をしてるの……?」

「あ、えと、顔を怪我したので、その手当てにっ…! で、でも越前先生いないみたいなので、自分で手当てしようと思って……!」

 と、戸口の方へと後退りながら答える隆志の言葉を、微かに点頭(てんとう)しながら聞いていた胡蝶が、救急処置用の椅子に目配せした。

「…座って……」

「えっ?」

「…座って……」

「えっ、あっ、は、はいっ……!」

 と隆志は狼狽して従った。だって、逆らったら死出の旅に行くことになるかもしれない。救急処置用の椅子に膝を揃えて座り、薬品戸棚の中からいくつか物を取り出す胡蝶を見つめながら戦慄してしまう。

(ぼ、僕は一体これから、この人形に何をされるんだ……!)

 と、冷汗三斗の思いでいる隆志の怪我した頬を、胡蝶がゆっくりとした動作で手当てを始める。途中、磁器の冷たい感触が頬に触れて、隆志は思わず息を呑んで椅子から転げ落ちそうになった。

「――うわっ!?」

「…動かないで……」

「は…ははは、はいっ……!」

 と隆志が再び膝を揃え、恐怖の余り硬直してから30秒程経った時のこと。再び胡蝶の声が聞こえて来た。

「…おしまい……」

「えっ!?」

 僕の命が? と恐慌して飛び退った隆志だったが、そうではない。怪我した頬に手を当てると、きちんと手当てがされていた。手当てが『おしまい』の意味だった。静かに薬品や脱脂綿やピンセットを片付け始める胡蝶を見つめながら、隆志はふと罪悪感を覚える。

(もしかして胡蝶さんて、本当に葉山君を殺した犯人じゃないんじゃ……)

 だって、こんな優しさを持っているのだ。己は謝っても謝りきれない程の失敬極まりない勘違いをしていたのかもしれないと、苛まれる。

「あ、あの、胡蝶さん。ありがとうございましたっ……!」

 と深く頭を下げた隆志を見つめる胡蝶の中から、再び声が聞こえてくる。

「…もう怖くないの……?」

 隆志が「えっ?」と顔を上げると、胡蝶が再度問うた。

「…私のこと…もう怖くないの……?」

「――あ……はいっ! す、すみませんでした! すみませんでした! 本当に、すみませんでした!」

 と、隆志は狼狽しながら再び頭を下げる。どうやら胡蝶に眉毛を読まれていたようだ。あんなに戦慄していたのだから、当然と言えば当然だが。

「…そう…怖くないの……」

「は、はいっ……!」

 と、頭を上げた隆志。

「…ありがとう……」

 そう言って無表情な顔立ちをした胡蝶が、とても愛らしく微笑したように見えた。ほんのりと頬を染めた隆志は、照れ臭そうに頭を掻いて言う。

「い、いえっ…! 本当にすみませんでしたっ…! もし良かったら今度、今日のお礼させてくださいっ……!」

「…お礼……?」

「はい! 何か僕に出来ることがあったら言ってください!」

 点頭し、「そう」と返した胡蝶が、それならばとこう続けた。

「…今日の放課後…私と遊びましょ……」

「今日の放課後っ?」

「…あなたと私…2人きりで……」

 少しの間戸惑った後、結局笑顔で承諾した隆志。午後の授業が始まるからと、保健室を後にした。その一方で、胡蝶は小さく手を振りながら呟いていた。

「…遊びましょ…遊びましょ……邪魔者を殺して…遊びましょ……」
 
 
 
 
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